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【臨床心理士講座】おいかけっこ〜遊びの意味〜

こどもの遊びの意味を考える、こどもの世界がより深く理解できます。保育や子育てに直接役に立つことはないかもしれませんが、こどもの世界を知ることでより積極的にこどもと関われるようになるかもしれません。そんなきっかけになれば幸いです。

おいかけっこ

『おいかけっこ』は、こどもが歩きまわれるようになると、大人がついてくるのをうかがいながら離れていくことで成立します。こちらが捕まえるととても喜びますし、捕まえないで距離をおいていても、わざわざ捕まえられるように待っていることもあります。そしてまた走り出し、捕まえてもらうのを待っています。

おいかけっこの本質

追いかけっこする親子

『いないいないばあ』や『かくれんぼ』によって、大人の存在が消えてなくならないことをこどもは経験します。

『おいかけっこ』は、ずっと大人が見えていますが、自分に向かって来てくれているかどうかをこどもは確かめています。『おいかけっこ』の本質は、離れてもついてくる関係です。

こどもは一人では生きていけません。いつも大人の存在を求めています。けれどもこどもは、一人でやりたいという欲求ももっています。自分が進むと大人が後ろからついてきてくれるなら、こどもはどんどん進んでいく勇気を与えられます。

こどもには大人を惹き付ける不思議な磁力があるのです。一人で進むことを喜びつつも心配して追いかけてくれることを、こどもは体験します。そして大人は自分達を捕まえて抱えてくれることを体験します。

捕まえる大人の裏表

大人がこどもを捕まえると、こどもは守られているという体験をします。けれども一人で何かをしたいと考えているこどもにとっては、自分を束縛される体験です。
大人は『おいかけっこ』でこどもを捕まえても、こどもの求めに応じてすぐに放し、『おいかけっこ』に戻ります。必要以上に大人がこどもを束縛しないこと、これも『おいかけっこ』を通してこどもが体験する重要な要素です。

こどもの成長は、大人がこどもを守っているベールを少しずつ脱いでいく過程だと言えます。「大人はこどもを守りたいのだ」という前提を体験しながら、「大人はこどもが一人ですることを止めはしない」という安心感を得ていくことで、こどもは積極的に大人の守りのベールを脱ぎ着することができます。

『おいかけっこ』はそんな大人とこどもの関係の基本が詰まっています。

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この記事を書いた人

川北 一征

川北 一征

臨床心理士・公認心理師

臨床心理士・公認心理師。1988年生まれ。大阪府出身。大学院終了後、児童福祉施設の心理士として勤務。こどもの心理治療や保護者、保育士の相談業務に携わっている。一男の父。

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